turquoise

ターコイズは最も古くから宝石として採掘されてきた鉱物で、メソポタミアで紀元前5000年に作られたビーズが見つかっています。エジプト人は紀元前4世紀頃にはシナイ半島からターコイズを採掘していました。セメルケット王の在位期間(紀元前2023〜2915年)に残されていた記録には、数千人の人夫を使った採掘作業の様子が詳細に記載さています。ターコイズの名はトルコ人商人によってトルコを経由してヨーロッパに輸出されたことに由来しています。


左:スリーピングビューティーの原石(左)
右:カボションにカットされコーティング加工されたターコイズ

ターコイズは含有されている鉄と銅の量によって空色から緑色へと色調が変わります。ターコイズはもともと多孔質な鉱物なので形を維持し色調を強調する目的で蝋や樹脂をしみこませていることがあり、こうした加工が施された石は「安定化させたターコイズ」と呼ばれます。宝石にするためにカボッションに磨かれる場合にはエポキシ樹脂をターコイズの背面に貼付けて強度を高めていることがあります。

ペルシャ(現在のイラン)では、ターコイズに写り込んだ新月を見た人には幸運が訪れると信じられていて、トルコでは国を代表する宝石として玉座から馬具に至までほとんどすべての道具の装飾に用いられました。ネイティブアメリカンの間では、青は空を、大空は父を連想させるので青の石は男性に、緑は大地を、大地は母を連想させるので緑の石は女性に見立てていました。古代の中米ではターコイズのモザイク装飾に高度な技術をもっており、アステカ文明のターコイズモザイクの中には14000もの小片を組み合わせた装飾品があり、モザイクで覆われた工芸品には盾、ヘルメット、ナイフの柄、ネックレス、大型メダルなどがあり、テオティワカン遺跡からはターコイズと貝殻を使った台形の輪郭、直線的な眉、アーモンドアイ、大きな鼻、肉感的な半開きの口などといったテオティワカンスタイルの特徴をよく著したモザイク装飾の仮面が出土しています。

産地によって特色あるターコイズには固有の名前がつけらていて、玉屋でもアリゾナ産のスリーピングビューティーといわれる明るい空色のターコイズを好んで使用したり、spider webといわれる蜘蛛の巣模様の景色の美しい大きな石や色調のグラデーションが美しい石は蜜蝋紐と併せてブレスレットをお創りしたりしています。

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