obsidian

オブシディアン(黒曜石)は天然の火山ガラスです。溶岩が急速に固化して鉱物が結晶化する時間がないときにできます。黒曜石という名称は、岩石の化学組成に関わらずガラス質の組織をもつものに広く用いられます。黒曜石はふつう漆黒ですが、ヘマタイト(赤鉄鉱)が含まれると赤や褐色になったり、微細な気泡が入り込むことで金色の光沢を見せる、玉屋でも使用しているゴールデンシャインオブシディアンと呼ばれる景色を見せる石になったりします。

オブシディアンはガラスよりもやや硬く、貝殻状に割れるのでカミソリのようなエッジをもった破片を作ることができるために多くの古代人が武器や石器、装飾品に利用しました。オブシディアンは交易商品として古代の流通経路に広く運ばれたので、考古学者は加工されたオブシディアンを調べることでその産出地域と移動経路を推定することができます。

また、アメリカの西南部、アリゾナ州やニューメキシコ州で産出するオブシディアンの原石や研磨されて涙型に加工されたオブシディアンは、砂漠に住む先住民のアパッチ族が19世紀後半にヨーロッパから移住してきた人々に土地を追われ、保留地で暮らすことを拒んで自決した時に流した涙が形を変えてオブシディアンとなったという言い伝えから「アパッチの涙」と呼ばれています。
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