lapis lazuli/pyrite

ラピスラズリ(青金石・瑠璃)はラズライト(lazurite)を主成分鉱物に方ソーダ石、アーウィン(藍方石)、パイライト(pyrite/黄鉄鉱)、カルサイト(calcite/方解石)を含んだ鉱物です。「青」を意味するペルシャ語の「lazhuward」、「天」「空」を意味するアラブ語の「lazaward」、ラテン語で「石」を意味する「lapis」を由来とするこの名は中世ヨーロッパで使われ始めましたが、それまではラピスラズリは「サファイア」と呼ばれていました。古代ローマの博物学者プリニウスはラピスラズリを「星のきらめく天空の破片」と表現しました。

エジプト人は数千年に渡ってラピスラズリを宝石として使用し、ツタンカーメンのマスクにはラピスラズリが象嵌されていますし、さらに古い紀元前3100年にはスカラベ像やペンダント、ビーズがありました。ラピスラズリの粉末は最初のアイシャドウとして使用され、顔料そして眼病を癒す医薬品としても使われていました。

日本では、ラピスラズリは瑠璃と呼ばれ、仏教の七宝(金・銀・瑠璃・玻璃・しゃこ・珊瑚・瑪瑙)のひとつとして、真言宗の開祖・空海(西暦774-835年)はラピスラズリを守護石としていました。奈良の正倉院の宝物庫には、「紺玉帯」と呼ばれるラピスラズリで飾られた黒漆塗の牛革製ベルトが収められています。

パイライトは「fool's gold」というニックネームでも呼ばれる鉱物で、金よりかなり軽いのですが真鍮黄色の色調と比較的大きな比重のために経験の少ない探検家をぬか喜びさせてきました。アメリカ南西部ネイティブは磨いたパイライトの板を木の台にはめ込んで鏡として使用していました。


白いカルサイトの基質の左側にはパイライト(黄鉄鉱)も見えています。


最高級とされる石は白色のカルサイトの斑点と真鍮色のパイライトの粒子を少量伴った濃青色の石だそうですが、玉屋では濃青色にパイライトが金粉のように舞う石を好んで選んで使用しています。
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